場の量子論について簡単に解説していきます。
今回は第1回目として、場の量子論の概要を書いていきます。
基本的には”An Introduction To Quantum Field Theory”(Peskin&Schroeder)の内容に沿いながら進行していきます。
場の量子論とは
物理学の素粒子理論の大学院生がまず修士1年の間習うのが場の量子論です。素粒子理論の分野は基本的に場の量子論を土台として築かれており、素粒子理論の言語とも言われています。
素粒子だけでなく、物性分野にも応用されていて、超電導理論等が有名です。
ここで場の量子論の特徴をいくつか挙げていきます。
量子力学を粒子数が変化するような状況に拡張できる
物理学の学生なら、学部生で量子力学を習います。場の量子論は量子力学を更に発展させたものとしての位置を確立しています。
量子力学では粒子数が\(n\)個の場合、波動関数\(\psi\)はその引数として\(n\)個の粒子の状態(の位置や運動量)を持つような関数でした。つまり、\(\psi=\psi(x_1,x_2,\cdots x_n)\)と書けました。
ここで次のような過程を考えます。
中性子が陽子と電子(と反ニュートリノ)になる過程(\(\beta\)崩壊と呼ばれます)で、式にすると
\(n\rightarrow p+e^-+\overline{\nu}_e\)
となります。ここで粒子数が\(1\rightarrow3\)となるので、波動関数の引数が変わります。
このような過程は量子力学で扱うことは難しいですが、場の量子論は可能になります。
量子力学を(特殊)相対論的に扱える
量子力学は非相対論的、つまり粒子の速度が光速と比べて十分に小さいと仮定して議論を進めています。しかしこれを光速に近いような状況に拡張しようとすると様々な困難が生じます。
例えば、ポテンシャルが無い(自由)1粒子、1次元のシュレディンガー方程式
\(i\hbar\frac{\partial}{\partial t}\psi(t,x)=-\frac{\hbar}{2m}\frac{\partial^2}{\partial x^2}\psi(t,x)\)
を考えると、時間に関しては1階微分なのに対し、空間に対しては2階微分となっており、明らかに時間と空間を異なるものとして見ていることが分かります。しかし、特殊相対性理論でのローレンツ変換は時間と空間を同一視するものでした。
よって、特殊相対性理論と量子力学を単純に組み合わせるのは何かしらの新しい理論構築がひつようになります。量子力学で扱うような微小スケールでは、粒子がとても軽いのでエネルギーを与えると簡単に光速近くまで加速されるので特殊相対論的なアプローチが必要となってきます。
ここでわざわざ「特殊」と書いたのには理由があって、一般相対性理論と量子力学の融合は場の量子論ではできないからです。あくまでも特殊相対性理論に関してのみ融合に成功しています。一般相対性理論と量子力学の融合は現在も研究が続けれらている分野で、素粒子理論分野の目標の一つとなっています。
自然界の力の内3つを記述できる。
自然界には4つの力が存在するとされています。それは重力、電磁気力、強い核力、弱い核力です。重力と電磁気力に関しては高校物理でも習うのである程度イメージはあるかと思います。核力は、その名の通り原子核内程度の短い距離でのみ起こる力です。この4つの力を上手く説明する必要があるのですが、場の量子論では重力以外の電磁気力、強い核力、弱い核力の3つを記述することに成功しています。ここで言う記述とは、力がどのような過程を通して生まれるのか、粒子に対してどう作用するのかを定式化することを言います。
高校物理で重力は扱いますが、何故重力が生まれるか、等はわからないし、何故質量を持っている物質に対して作用するのかはわかりませんよね。高校物理から考えれば重力が一番簡単なのに、重力だけ上手く記述できてないのは興味深いです。
まとめ
今回は場の量子論の概要として、3つの特徴を説明しました。
場の量子論は大学院生が習う内容ですし、前提知識として(最低限)量子力学と特殊相対性理論を習得している必要があるため、とても難しいです。しかし、理解できたときは感動できる理論です。
私自身理解できてない内容も多いかと思いますが、共に場の量子論を勉強していけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
コメント