場の量子論は量子力学と特殊相対性理論を混ぜた理論です。
なのでこの2つの理論で使われている定義が混合してきます。混乱を防ぐためにまず定義の確認から行います。
自然単位系
単位系は様々なものがありますが、自然単位系を採用します。これは
つまり、プランク定数(を\(2\pi\)で割ったもの)と光速が1という単位を持たない定数としています。
さて、この定義は使えるのでしょうか?
詳しいことは省きますが、実はこのような定義で問題ないことが分かっています。ある物理量の単位を表すとき、必要に応じて\(\hbar\)や\(c\)をかけたり割ったりすることで必要な単位を与えることができます。
\(\hbar=\left[ML^2T^{-2}\right], c=\left[MT^{-1}\right]\)という単位を無視する単位系ですので、
[質量]=[エネルギー]=[時間]^{-1}=[長さ]^{-1}ということになります。
この4つの単位は1つの単位だけで表せることになり、基本的には質量をもとに単位を書くことにします。
計量/反対称テンソル
相対性理論において共変ベクトルと反変ベクトルの計算に苦労した人もいるかもしれません。その際に必要な計量テンソル(ミンコフスキー計量)を次で定義します。
これに-1をかけたものが採用される場合もあるので注意が必要です。
これによりベクトルを次のように書けます。
\(x^{\mu}=(x^0,\vec{x}),x_{\mu}=g_{\mu\nu}x^{\nu}=(x^0,-\vec{x})\)
内積は
\(a\cdot b=g_{\mu\nu}a^{\mu}b^{\nu}=a^0b^0-\vec{a}\cdot\vec{b}\)
また、4元ベクトルは\(x\)もしくは\(x^{\mu}\)、3元ベクトルは\(\vec{x}\)のように書きます。
質量を持つ粒子に関しては、
\(p^2=p^{\mu}p_{\mu}=(p^0)^2-|\vec{p}|^2=E^2-|\vec{p}|^2=m^2\)
という条件を課します。これはon-mass-shell条件と呼ばれます。
微分演算子に関しては
\(\partial_{\mu}=\frac{\partial}{\partial x^{\mu}}=\left(\frac{\partial}{\partial x^{0}},\vec{\nabla}\right)\)
\(n\)次反対称テンソルに関しては
と書きます。例えば4次の場合、
\(\epsilon^{0123}=1\)として、(0123)の偶置換の場合+1,奇置換の場合-1とします。
ここで\(\epsilon_{\mu\nu\rho\sigma}=g_{\mu\mu’}g_{\nu\nu’}g_{\rho\rho’}g_{\sigma\sigma’}\epsilon^{\mu’\nu’\rho’\sigma}=-\epsilon^{\mu\nu\rho\sigma}\)
となるので、上付きか下付きかを確認する必要があります。
4元運動量
量子力学的に運動量を定義します。
on-mass-shell条件と合わせると\(p^{\mu}=i\partial^{\mu}\)と書けます。
\((\because)p^{\mu}=(p^0,\vec{p})=(E,-i\vec{\nabla})=(i\partial_0,-i\partial_1,-i\partial_2,-i\partial_3)\\
=(i\partial^0,i\partial^1,i\partial^2,i\partial^3)=i\partial^{\mu}\)
パウリ行列
量子力学でスピン角運動量を考える際に出てきた行列です。
ここでも、\(\sigma_i=-\sigma^i\)に注意が必要です。
行列の形として書かなくても、次のような代数を満たす行列のことを指す場合もあります。
\(\sigma^i\sigma^j=\delta^{ij}+i\epsilon^{ijk}\sigma^k\)(ここで\(\delta^{ij}\)は2×2単位行列)
次のように定義する場合もあります。
フーリエ変換
フーリエ変換を用いると微分方程式が楽に解けました。4次元の場合、
\(n\)次元の場合、単純に\(4\rightarrow n\)と置き換えをすればOKです。
\(\int d^4x e^{ik\cdot x}=(2\pi)^4\delta^{(4)}(k)\)のように、\((2\pi)^4\)の因子を忘れずに書く必要があります。
ここで\(\delta\)関数と階段関数\(\theta\)を定義します。
特に\(\delta\)関数の積分は有用で、様々な計算で使われます。
まとめ
今回は定義を確認がてら羅列しました。
次回から早速場の量子論の本題に入ります。
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