集合論(0) 集合論の紹介

こんにちは!マシューの数理理論部屋です。

今回は大学数学の集合論について概要を書きたいと思います。
集合論は数学の言語としての役割を担っていて、集合論自体を研究するわけではなくとも数学を学ぶ上では必ず通る道です。しかし、高校までの数学ではその表面に触れるかどうかぐらいのことしかしません。集合論は数式を使う場合が少ないという性質上演習もしづらいため身に着けるのも難しく大学数学で躓きやすい分野とも言えるでしょう。本題は次にまわして今回は集合論とは何なのか、どんなことを議論するのか、何が利点なのかなどについて紹介します。

集合論とは

高校数学で「集合」というものについて学んだと思います。以下のようなものです。

A={1,2,3,4,5}={x∈N:1≦x≦5}・・・(1)

この式の意味は、
「Aという集合があり、その要素(元)は1,2,3,4,5であり、それはまた1以上5以下の自然数でもある」
ということです。
集合論はその名前の通り、集合について研究する分野です。
集合は主に式の真ん中で表現されているように全ての元を書く方法と、右に表現されているように条件を書く方法があります。後者の場合分かりづらいのですが、元の数が多すぎたり、無限個の元を持つ集合を考えるとき等は役に立ちます。
特にこの条件を書く方法は条件が命題となっていて、その命題を満たす(つまり真となる)ものが元である、ということができます。つまり、集合論を議論する上では命題の真偽が非常に重要になってきます。
数学は、基本的には公理を仮定してそのうえでどんなことが分かるかを調べる学問です。この「分かる」ということは、真偽が分かるということです。これが(大雑把ですが)集合論が数学の言語となっている理由です。
また「公理で仮定するものを変えた時にどんな体系となるか」というのも集合論の研究分野の一つです。

集合論の利点

一言で言うと、集合論の登場によって数学研究分野が広がったことが挙げれると思います。これは、「集合論」という新しい分野ができたからその新しい部分を研究する必要があり、故に研究分野が広がった、というだけではありません。
集合論は前述のように、公理系を変えて研究することができるので、公理系ごとに新たな数学を生み出す可能性を秘めています。例えば幾何学の分野で公理系を変えた代表例はリーマン幾何学が挙げられます。

それまでの幾何学は、基本的にはユークリッド幾何学でした。その公理系には「平行線は交わらない」という公理がありました。これを認めた上で現れる幾何的な性質を研究して体系化したものがユークリッド幾何学です。
しかしリーマン幾何学はこの公理を仮定していません。例えば、球面上での平行線を考えてみましょう。地球儀で経度を表す線を例にとります。このとき、南極と北極で平行線が交わることが分かり、反例となるので球面上でユークリッド幾何学は成立しないことが分かります。このリーマン幾何学は、公理系の条件を緩めていますが一般相対性理論の数学的側面を補助している等、素晴らしい数学の一分野として確立されています。

このように公理系を変えるだけで得られる利点は様々あり、その公理系を変えることを研究対象としている集合論は数学自体を広げたといえるでしょう。
また集合論が数学を広げたといえるのは公理系について考えているという理由だけではありません。集合論が素晴らしい別な理由は論理学とも密接な関係を持っており、証明方法自体についても研究しているからです。

例えば同じ集合について考えてみましょう。式(1)でA=BとなるBがあったら、Bは何でしょう?
という問題があったとします。答えは簡単でB={1,2,3,4,5}もしくはB={x∈N:1≦x≦5}であるとわかると思います。

では、そのときA=Bであることはどうやって証明するでしょうか?

答えを先に書いてしまうと、[どんなx∈Aに対してもx∈Bを満たし、更にどんなy∈Bに対してもy∈Aとなる]ことを示せばよいことになります。
このように「どうやって証明するか」の手法や論理学についても研究しているので、数学の根幹を形作るような学問とも言えるでしょう。

まとめ

今回は、大雑把ではありますが集合論について紹介しました。実際にどのような論理があるか、やどんな記号を使うか等は次以降で説明します。
集合論は難しいですが、十分な復習をしたうえで向き合うと数学の偉大さに気づくことができます。
是非一緒に頑張っていきましょう!

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