こんにちは!マシューの数理理論部屋です。
今回は集合論の第1回目として、記号などの定義について書きたいと思います。
論理記号
論理記号に限らず、数学は記号がとても多いです。小学1年生からすでに+、ー、=などの記号を習っています。記号を新しく習うときは難しく感じるものですが、向き合い続けるうちに慣れて記号を使うことが便利だと思えるようになります。論理記号も同じで、慣れるまでが勝負です。頑張っていきましょう!
記号 | 意味 |
\(\forall\) | 任意の、全ての |
\(\exists\) | 存在する |
\(\colon=\) | 左辺を右辺で定義する |
\(\overset{\text{def}}{\Leftrightarrow}\) | 定義する |
\(\Leftrightarrow\) | 同値 |
\(\Rightarrow\) | 左辺ならば右辺 |
\(\land\) | かつ |
\(\lor\) | または |
\(\lnot\) | 否定(~でない) |
表を見た瞬間拒絶反応が出た人もいるかもしれません。しかし、大丈夫です!最初から慣れてる人はいません。
数学は一つの言語に例えることができます。最初はみんな赤ちゃんで言語を自在に使うことはできません。しかし練習を繰り返すうちに慣れてきて、当たり前のように使うことができるようになります。数学も同じで、どこまでも練習によってなれることができます。
今回は\(\forall\)と\(\exists\)の説明のみをしてあとは次回にしたいと思います。
各記号の説明
では、さっそく説明に入りたいと思います。
\(\forall\)・・・全ての
\(\forall\)は、全称記号と言って「全ての」、「任意の」という意味があります。allの頭文字のAを逆にした文字として覚えるといいでしょう。例として次のような文を構成することができます。
\(\forall\)学生は勉強をすることが望ましい・・・(1)
(1)の意味は、”\(\forall\)”の部分にそのまま”全ての”といれて「全ての学生は勉強をすることが望ましい」ということになります。
集合論で\(\forall\)を使うときは、基本的には集合の元についていいます。(1)の場合、学生は人類全体という集合の中の元として学生を選んだならばどんな学生でも勉強をすることが望ましいという主張になります。
\(\exists\)・・・存在する
\(\exists\)は存在記号と言って「存在する」という意味になります。ここで注意しないといけないのは、数学の文法は日本語とは異なる点です。例文は以下のようなものがあります。
\(\exists\)学生(勉強を頑張る)・・・(2)
(2)の意味は「(勉強を頑張る)学生が存在する(→いる)」となります。\(\exists\)が前に来ていることが分かります。\(\forall\)と\(\exists\)に関しては、基本的に集合の元に対しての修飾語として捉えればよく、元の直前に来ます。
また括弧内に書いたものは学生の条件となりますが、\(\exists\)を使った元の条件のとき、s.t.(such that もしくはsomething that の略)の後に条件を書くことができます。なので(2)は次のように書き直すことができます。
\(\exists\)学生 s.t. 勉強を頑張る・・・(2-1)
例文
今回紹介した\(\forall\)と\(\exists\)は集合論では核の核といえるほど重要な論理記号となります。例文をいくつか見て数学独特の文法や記号の意味に慣れていただけたら幸いです。
\(\forall\)子供、\(\exists\)お菓子 (子供はお菓子が好き)・・・(3)
\(\exists\)お菓子、\(\forall\)子供 (子供はお菓子が好き)・・・(4)
さて、例として(3)と(4)を更に挙げます。2つは\(\forall\)と\(\exists\)の位置が逆になっており、それ以外は全て同じになっています。この2つは全く違う文なのですが、違いを説明できるでしょうか?
答えを書くと、
(3)は「どんな子供もそれぞれ好きなお菓子がある」という意味で、
(4)は「どんな子供でも好きなお菓子がある」という意味になります。
(3)に関しては、子供一人一人が何かしら好きなお菓子が最低1つずつありさえすれば好みが全くかぶっていなくとも真となります。
しかし(4)に関しては、子供ならば一人一人好みのお菓子があり、なおかつ全員が共通して好きなお菓子が1つ以上ないと真にはなりません。
この例で数学を議論する上で順序がとても大事であることが分かると思います。数学は仮定(公理)を最初に決めて結論(定理)を導き出すことが基本的なプロセスなのですが、仮定は前・結論は後に書くのが大原則です。
まとめ
今回は2つだけではありますが、最も大事といえる2つの論理記号について紹介しました。次回からは残りを説明していきたいと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。挙げてほしいトピックや質問等ありましたら大歓迎ですのでコメントの方に書いていただけたらありがたいです。
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