集合論(2) 定義(2)

こんにちは!マシューの数理理論部屋です。
今回は、前回に引き続き論理記号の紹介をしていきたいと思います。

筆者の偏見を交えて言うと、数学は体系を作ってその中で自由な議論をするために定義があるように感じます。ペアノの公理だと1+1=2を証明することができるのですが、どちらかというと1+1=2と言えるような体系を公理によって作ったという印象です。

ですので、定義が多くなるということはその分新しい世界が待っていますし、美しい数学の景色を見るための階段となると思います。是非今回も頑張っていきましょう!

論理記号

前回出した表を再掲します。

記号意味
\(\forall\)任意の、全ての
\(\exists\)存在する
\(\colon=\)左辺を右辺で定義する
\(\overset{\text{def}}{\Leftrightarrow}\)定義する
\(\Leftrightarrow\)同値
\(\Rightarrow\)左辺ならば右辺
\(\land\)かつ
\(\lor\)または
\(\lnot\)否定(~でない)

この内上2つの\(\forall\)と\(\exists\)に関しては前回紹介しました。今回は残りの論理記号について説明していきたいと思います。

\(\colon=\)・・・左辺を右辺で定義する

\(\colon=\)は定義するための論理記号です。主に数式で表すことができるような定義の際に使います。注意点は”:”の位置です。:がある側が定義される側で、ない側が定義する側となります。逆に右辺を左辺で定義したいのなら\(= \colon \)を用います。
例文は以下のようなものがあります。

\(\int_{a}^{b} f(x)dx \colon= \underset{n \rightarrow \infty}{\lim} \overset{n-1}{\underset{k=0}{\sum}} \frac{b-a}{n}f(a+ \frac{b-a}{n}k) \) ・・・(3)

(3)は区分求積法で積分を定義した際の定義式です。

\(\overset{\text{def}}{\Leftrightarrow}\)・・・定義する/\(\Leftrightarrow\)・・・同値

この2つは形が似ていることが分かると思います。2つとも左右に向かった矢印があり、上に”def”と書かれているかの違いとなります。
\(\overset{\text{def}}{\Leftrightarrow}\)は定義するという意味です。上で紹介した \(\colon=\)との違いは両辺に数式ではなく、命題が一般的に入るという点です。数式で説明できないような定義に関して使います。
例えば次のように使います。

青\(\overset{\text{def}}{\Leftrightarrow}\)435.8nm の波長を持つ電磁波・・・(4)

基本的には左辺を右辺で定義するような使い方をします。(4)では青とは、435.8nm の波長を持つ電磁波を指すことを主張しています。

\(\Leftrightarrow\)も似たようなものです。”同値”という言葉の数学的な意味に関しては幾分か後の回で説明したいと思いますが、基本的には=を緩めた意味として考えるとよいとおもいます。
例えば、厳密にいえば電磁波の波長が435.8mmと435.7mmでは違う色になりますが、人間の目でみれば同じ青に見えるでしょう。このような=の意味を拡張して命題としての”=”を”\(\Leftrightarrow\)”とするわけです。

\(\Rightarrow\)・・・左辺ならば右辺

この\(\Rightarrow\)も両辺に命題が入ります。左辺を仮定すると右辺が結論として出てくるという主張になります。これは主張ですので命題としてまだ真偽が分かっていません。詳しいことに関しては論理の説明でしようと思います。
とりあえず例文を挙げておきます。

風が吹く\(Rightarrow\)桶屋が儲かる・・・(5)

ちなみに右辺ならば左辺としたいのならば矢印の向きを変えて\(Leftarrow\)と書けばいいです。

\(\land\)・・・かつ

\(\land\)の名称は論理積です。これも両側に命題が入ります。例文を使って説明します。

a=1\(\land\)b=2 \(\Rightarrow\)ab=2・・・(5)

これはa=1かつb=2ならばab=2という意味です。\(\land\)や後述の\(\lor\)、\(\lnot\)で命題の表現の幅を持たせることができます。

\(\lor\)・・・または

\(\lor\)の名称は論理和です。使い方は\(\land\)と同じですが、\(\land\)は両側の命題が同時に成り立つ時に使いますが、\(\lor\)は片側のみが成立しても、両方が成立してもいいので、\(\land\)はすこし緩い条件になります。例は以下のようなものがあります。

ab=0\(\Rightarrow\)a=0 \(\lor\)b=0・・・(6)

(6)の右辺はab=0ならばa=0またはb=0という意味で、a=0\(\land\)b\(\neq\)0 かa\(\neq\)0\(\land\)b=0かa=0\(\land\)b=0のうちのどれかということになります。

\(\lnot\)・・・否定

これは命題の前に付きます。命題の前に付いて命題の否定を表現することになります。~であるが~でない、となるイメージです。
ここで注意しないといけない点があります。仮定と結論が入っている命題を否定する時、結論を否定するだけではなく、仮定もいじる必要があります。ここではとりあえずそんなことがあるらしい、程度の理解で十分ですが、例を見てみるとわかると思います。

\(\forall\)子供、\(\exists\)お菓子 s.t. 子供はお菓子が好き・・・(7)

(7)の否定はつぎのようになります。

\(\lnot\)[\(\forall\)子供、\(\exists\)お菓子 s.t. 子供はお菓子が好き]
\(\Leftrightarrow\)\(\exists\)子供\(\forall\)お菓子 s.t. 子供はお菓子が好きではない・・・(8)

これは「どんな子供にも好きなお菓子が1つはある」という(7)の否定で、「お菓子が好きではない子供がいる」ということになります。結論の「好き」だけではなく仮定の\(\forall\)と\(\exists\)も変わっていることが分かるかと思います。
否定を使うと、その命題が成り立たない部分の主張という感覚で捉えるといいでしょう。詳しくは論理の説明でまたしたいと思いますが、少しだけ説明すると仮定では\(\forall\)は\(\exitsts\)に、\(\exists\)は\(\forall\)に変換すれば基本的にはOKです。

まとめ

今回は基本的な論理記号の残りのものに関して説明しました。定義ばかりがでてきて面白味はなかったと思いますが、最後まで付き合っていただきありがとうございました!次回は集合の基本的な記号について説明します。

挙げてほしいトピックや質問等ありましたら大歓迎です。コメントの方までよろしくお願いします。

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