今回からは集合論の神髄に迫ります!
これからの目標は、当分選択公理の理解とします。
今回は選択公理の紹介として、この公理がどう見れらているか、どんな性質を持っているかを簡単に紹介します。
選択公理
ではとりあえず選択公理についてまずは触れてみましょう。
ここで\(f\)は選択関数と呼ばれます。選択公理は上の条件を満たす選択関数が存在することを主張しています。
例
これは実は当たり前に見える主張です。何故そうなのかをみるために例を挙げます。
例1
\(X_n=[0,n],\quad n\in\mathbb{N}\qquad ([a,b]\mbox{は閉区間})\)とする。
このとき、\(I=\mathbb{N},\{X_i:i\in I\}=\{[0,n]:n\in N\}\)となる。
また、\(f(n):=n\)とすれば\(f(n)\in X_n\)となり、選択関数が存在することが分かる。
例2
\(X_0=\{1,2\},X_1=\{\mbox{青、赤、携帯}\},X_2=\{A,B,C,D\},X_3=\{e,\pi,e+\pi\}\)とする。
このとき、\(I=\{0,1,2,3\},\)考えている集合族は\(\{X_i:i\in I\}\)となる。
更に、\(f(0)=1,f(1)=\mbox{青},f(2)=A,f(3)=\pi\)とすれば選択関数の存在が示せる。
さて、例を2つ見ましたが、選択公理が示すことは
「集合を持ってきたらその中身から何か選ぶような操作ができる」
と言い換えることができます。
選択公理は正しいのか?
さて、数学的には選ぶような操作には時間がかからず、無作為にできるように思えます。
選択公理と同値な命題がいくつかあるので、それを見てみます。
これは選択公理が正しければ真な命題として証明されています。更に踏み込んだ言い換えをすると、ビー玉1つを有限回分解して再度つなぎ合わせることを繰り返すことで地球より大きな物質を作れることになります。
これは明らかに何か間違っているように感じます。では、選択公理は間違っているのでしょうか?
ユークリッド幾何学と平行線
実は現代数学にて、選択公理はその名の通り「公理」としての位置を確立しています。
ユークリッド幾何学の話をします。
2000年前には既に研究されていた幾何学の分野です。これには公理がいくつかありますが、その中に平行線の公理がありました。
平行線公理を言い換えると”平行でない線分を延長すると交わる点が存在する”となります。
この公理は長い間証明できるかについて研究されてきましたが、それはついに叶いませんでした。
リーマン幾何学の発展ともつながりますが、実は平坦でない2次元面では平行ではないのにも関わらず交わらない線分が存在することが分かっています。
公理とは
さて、ここで公理について考えます。公理は、「正しいと仮定」するものです。公理を操作する(つまり公理を選ぶ)ことで異なった数学が出来上がります。その例としてリーマン幾何学とユークリッド幾何学がありますが、ユークリッド幾何学は平行線公理を認めていて、これは平坦な幾何学として議論できます。一方リーマン幾何学では平行線公理を認めておらず、より一般的な議論ができます。
選択公理もこのように「正しいとするか決める」ものです。つまり、選択公理を認めるかどうかで議論する数学が異なるようになります。
選択公理を認めるような集合論の代表格としてZFC系、認めないものにはZF系等があります。
まとめ
今回は選択公理について紹介しました。
集合論では、今回触れたようなことを研究する場合が多いです。つまり、公理系を定めた際にどのような議論ができるか、を研究対象としています。
次回からは、実際に選択公理を理解していくための準備を始めます。
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