集合論(3) 定義(3)

こんにちは!マシューの数理理論部屋です。
前回までは論理記号について紹介しました。今回は集合論における記号を説明していきたいと思います。よろしくお願いします。最初は言語を覚える段階なので面白味もなくつまらないかと思いますが、言語を使えるようになるとその言語特有の世界が広がっています!是非一緒に頑張っていけたらなと思います。

高校数学で習う範囲

まずは復習として高校数学で習う範囲の記号を紹介していきます。

記号説明
\(\in\)左辺は右辺の元
\(\subset\)左辺は右辺の部分集合
\(\subsetneq\)左辺は右辺の部分集合だが左辺=右辺ではない
\(\cup\)左辺と右辺の少なくとも片方の要素全体
\(\cap\)左辺と右辺の共通部分
\(\emptyset\)空集合
\(A^C\)全体集合の内集合Aに含まれないもの

どうでしょうか?ぱっと見て意味が分かるのなら高校数学の集合に関してはしっかり言語を使う準備ができていると思います。もし意味が分からないのであれば、復習をされることをおすすめします。
また、\(\notin\)等、斜線が引かれている場合はその否定ととらえて大丈夫です。

大学数学の範囲

さて、それではいよいよ追加で知るべき集合論の記号について説明していきます。
まずは以下の表に羅列しておきます。

#A集合Aの濃度
\(\cap A\)集合の集合Aの要素全体の共通部分
\(\underset{\lambda \in \Lambda}{\cap}A_{\lambda}\)\(\forall \lambda \in \Lambda \)に対し\(A_{\lambda}\)の共通部分
\(\cup A\)集合の集合Aの要素の要素全体
\(\underset{\lambda \in \Lambda}{\cup}A_{\lambda}\)\(\forall \lambda \in \Lambda \)に対し\(A_{\lambda}\)の要素全体
A\(\backslash\)B集合Aに含まれる元のうち、Bに含まれないものの集合
\(2^A\)もしくはP(A)集合Aの冪集合
A×B集合A、Bの直積
\(A^n\)集合Aのn個の直積
\(A^B\)集合Bから集合Aへの写像全体
同値関係
A/~商集合
N,Z,Q,R,C自然数、整数、有理数、実数、複素数
\(\aleph_0\)自然数の濃度
\(\aleph\)連続体濃度

ここでは全ての定義を詳しく説明することはしません。この表を早見表のように使うことをお勧めします。
具体的な説明は、上の7個だけにして、あとの説明は以後集合論の議論が深まっていく時に詳しい定義を書こうと思います。

#A・・・集合Aの濃度

有限集合に関しては集合Aの要素の数ととらえてもらって大丈夫です。
しかし、自然数全体の要素と実数全体の要素の数は両方とも無限個ですが、自然数の方が要素の数で言えば少なく感じます。濃度計算の詳しい内容は今は必要ないですが、同じ無限でも要素数を区別する必要があり、導入された概念が濃度です。今はとりあえず聞き流す程度の理解で大丈夫です。

\(\cap A\)・・・集合の集合Aの要素全体の共通部分

集合を要素とするような集合を考えます。例えば以下のようなものがあります。

A\(\colon=\){{1},{1,2,3},{1,4}}・・・(1)

Aの要素に集合が入っていることが分かるかと思います。集合論ではこのようなややこしい集合も研究対象に含まれます。
さて、この集合Aに対して\(\cap\)A、つまり要素全体の共通部分を考えてみます。
Aの要素は3つあり、それは全て1を要素として持っています。また1以外に3つ全ての要素となるものは存在しませんので、

\(\cap A\)={1}・・・(2)

と書くことができます。ここで注意が必要なのは、Aは集合の集合でしたが、\(\cap\)Aはただの集合となるという点です。

\(\underset{\lambda \in \Lambda}{\cap}A_{\lambda}\)・・・\(\forall \lambda \in \Lambda \)に対し\(A_{\lambda}\)の共通部分

今度は集合にラベリングすることを考えます。\(A_{\lambda}\)のように\(\lambda\)でラベリングしてみました。(ラベリングとは、番号を振るようなものです)なぜnではないかというと、nは自然数、もしくは整数としての意味合いが強いからです。濃度の所でも書きましたが例えば実数と自然数では要素数は同じ無限なのですが、濃度が違います。なのでより広い意味で定義する意味で\(\lambda\)でラベリングしました。(1)の例で言えば、\(A_1={1},A_2={1,2,3},A_3={1,4}\)と定義(ラベリング)することで
A=\({A_1,A_2,A_3}\)と書くことができます。ここで更に\(\underset{\lambda \in \Lambda}{\cap}A_{\lambda}\)は\(A_1,A_2,A_3\)の共通部分として考えればよいので次のようになります。

\(\underset{\lambda \in \Lambda}{\cap}A_{\lambda}\)={1}(=\(\cap\)A)・・・(3)

\(\cup A\)/\(\underset{\lambda \in \Lambda}{\cup}A_{\lambda}\)

これは\(\cap\)の時と同様にして考えればOKです。共通部分だったものを、何か1つでも含むものがあれば要素として取り入れます。(1)のときの例を使うと、次のようになります。

\(\cup A\)=\(\underset{\lambda \in \Lambda}{\cup}A_{\lambda}\)={1,2,3,4}・・・(4)

A\(\backslash\)B・・・集合Aに含まれる元のうち、Bに含まれないものの集合

A\(\backslash\)Bは純粋にAーBの集合バージョンとして覚えればやりやすいです。
注意が必要なのは、B\(\subset\)Aでなくともいいという点です。
上の例で言えば、

\(A_3 \backslash A_1 \)={4}
\(A_3 \backslash A_2 \)={4}

です。特に下の式では、2と3が\(A_3\)に含まれていないですが、引き算として成立していることに注意しましょう。

まとめ

今回は今現在で必要な文だけですが、集合論の記号について紹介しました。最後まで読んでいただきありがとうございました。とりあえず今回で定義はおしまいです。
次回は論理学について少し説明します。ここから少しずつ集合論らしくなっていきます。論理やパズルが好きな人はかなりはまるのではないかと思います。

挙げてほしいトピックや質問等ありましたら大歓迎です。コメント欄までよろしくお願いします。


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